Evaluation of the Multifunction Cardiogram(MCG) for Low Risk Chest Pain Patients Presenting to the Emergency Department
Orlando Regional Medical Center, Orlando, FL; Jackson Memorial Hospital, Miami, FLによる研究。米国救急医学会ACEP(American College of Emergency Physicians)2020で発表(2020年)
救急科に来院する低リスク胸痛患者に対する多機能心電図(MCG)の評価。
急性冠症候群(ACS)の疑いがあり救急科(ED)を訪れた被検者に対して血管造影を行った47人の患者のうち、23人(49%)がCAD無し、12人(26%)が軽度CAD、7人(15%)が中程度CAD、そして5人(11%)が重度CADであった。
MCG平均スコアは、CADのない患者は2.3(95%CI 1.0-3.1)、軽度2.6(95%CI 0.8-4.3)、中程度3.4(95%CI 1.2-5.6)、重度4.8(95%CI 1.4- 8.2)であった。重度と非重度に二分したところ、重症CAD患者の平均MCGスコアは4.8(95%CI 1.4-8.2)で非重度CAD 2.4(95%CI 1.6-3.2)(p=0.046)であった。最も高いMCGスコアの平均は、重度CADで6.8(95%CI 4.3-9.3)、非重度CADで3.1(95%CI 2.2-4.0)であった(p=0.006)。
重度CADを予測するためのROC曲線下面積(AUC)は、平均MCGスコアを使用した場合は0.76(95%CI 0.57-0.95)、最も高いMCGスコアを使用した場合は0.85(95%CI 0.70-0.99)であった。
MCGスコアは冠状動脈閉塞の重症度とともに増加しEDでACSが疑われる低リスクの胸痛患者を評価するための潜在的なツールとしてMCGを紹介する。。
受診者における多機能心電図検査(MCG)の有用性
宗教法人 在日本南プレスビテリアンミッション淀川キリスト教病院による研究。第48 回総合健診医学会での発表(2020年)
MCG検査を行った148例を対象とし、MCG結果により要精査となった受診者の精査結果を後ろ向きに調査。健診受診者の心電図(ECG)精査結果を比較対照群とした。
結果、MCG要精査20例のうち16例が当院循環器内科を受診し、冠動脈CTが行われた5例中1例で有意な冠動脈の狭窄を認めた。(この1例の心電図は要精査ではなかった。)
一方、心電図検査群5,604例のうち要精査は138例であり、そのうち54例が当院を受診し2例に冠動脈CT・冠動脈造影が行われ、1例に有意な冠動脈狭窄を認めた。
MCGでは要精査として受診した16例中1例(6.3%)で有意な冠動脈狭窄が発見され、心電図での54例中1例(1.9%)より高い可能性があり心電図で要精査とならない症例を拾い上げた。
Evaluation of noninvasive mathematical analysis of spectral ECG comparing to Coronary Angiography for severe Ischemic Heart Disease in Emerging Country
Japan Myanmar Medical Help Group(JMMHG) による研究。ACC(American College of Cardiology) Asia で発表(2018年)
CAGを行う予定のMCG(スコア4以上)の合計30人にCAGを実施。1枝または複数の血管で 75% 以上の CAG による冠動脈狭窄 (狭窄の 75%-100%)を陽性(IHDあり)とし、MCGと比較。
IHD がある被検者とない被検者の MCG スコアは大きく異なり (IHDあり:7.0、IHDなし:5.4、p<0.01)、感度 76.5%、特異度 69.2%、PPV 76.5%、NPV 69.2%、および精度 73.3% (p<0.05)(カットオフ値は 6)であった。
MCGは医療施設や医療技術が不足しているミャンマーなどの新興国において、適切な治療のための重度IHDの早期発見への使用を提案する。
MCGで冠動脈疾患を早期検知できれば、ミャンマーでの急性心筋梗塞を多く予防できる。
Japan Myanmar Medical Help Group(JMMHG) による研究。第26回日本心血管インターベンション治療学会学術集会(CVIT)で発表(2017年)
冠動脈疾患が疑われるMCGスコア4以上の被験者20名にCAGを実施。一枝または複数枝における75%以上の冠動脈狭窄(75%~100%)を陽性と定義し、MCGと比較。
MCGスコアは陰性群では4.9、陽性群では6.5であった(P<0.001)。
MCGカットオフ6以上では、感度80.0%、特異度90.0%、PPV88.9%、NPV81.8%、正診率85.0%であった。
MCGは高い感度と特異度を示しており、高いMCGのスコアは重篤なCADを示していると考えられる。MCGは、ACS発症前に適切な治療を開始するための早期検知、並びにCAGにより診断されたCADのフォローアップに利用することができる。
低リスク冠動脈疾患患者に対するMCGの診断能
愛知医科大学による研究。第81回日本循環器学会での発表。(2017年)
冠動脈疾患が疑われCTAが予定される被検者に対してその評価手法であるCaスコア、SSS(Segment Stenosis Score)、 SIS(Segment Involvement Score)をMCGと比較したところ(n=102)、MCGはSSS/SISと相関し、高いMCGスコアは重篤な狭窄の存在を示すものであった。(AUC=0.75、Sensitivity: 60.0%, Specificity: 86.6%, PPV:52.2%, NPV:89.9%, Best cutoff:3.5、P<0.001)
MCGは、冠動脈疾患の重症度に相関がみられ、高いMCGスコアは重篤な狭窄の存在を示唆するものであった。本研究はMCGが非侵襲的手法による冠動脈疾患の検知について、価値ある貢献を提供するであろうことを示した。
「MCG検査」虚血性心疾患リスク検査を導入して
社会医療法人生長会ベルクリニックによる研究。第57回日本人間ドック学会での発表。(2016年)
ドック受診者中MCG検査を実施した62名のMCGスコア判定のAを陰性群、B・Cを陽性群とし、ECGとMCGスコア判定をそれぞれ虚血性心疾患の危険因子(年齢、家族歴、喫煙歴、血圧、BMI、血糖値、コレステロール値等)で比較したところ、ECGでは虚血性心疾患の危険因子に全く有意差はみられなかったが、MCGでは、年齢、血圧、BMI、腹囲、FBS、HbA1cに有意差がみられ、さらに虚血性心疾患の危険因子の数を比較した場合も、有意差がみられた。
MCGはECGでは把握できない加齢や肥満、高血圧、糖尿病による心筋への僅かなダメージや負担を検知できると考えられ、危険因子の多い受診者はMCGを行い、高リスクであれば他の心臓病検査や生活習慣の改善へ誘導していく必要性が示唆された。
肺静脈隔離術後の心房細動再発の予測に関するMCGの有用性について:予備的結果
愛知医大による研究。第63回日本不整脈学会での発表。(2016年)
肺静脈隔離術を受けた76人のうち、術後3カ月以内にAf再発(N=13)した患者群と、しない患者群の間では、MCGスコアに違いはなかったが、MCGレポート中における「不整脈傾向」がチェックされる頻度がAf再発群で有意に高く、MCGは、肺静脈隔離後のAf再発の予測に有用であると考えられる。
日本語要約
MCGによる冠動脈動脈硬化症の非侵襲的検知
愛知医科大学による研究。第80回日本循環器学会での発表。(2016年)
冠動脈疾患が疑われCTAが予定される被検者に対してその評価手法であるCaスコア、SSS(Segment Stenosis Score)、 SIS(Segment Involvement Score)をMCGと比較したところ(n=84)、MCGはSSSと相関し、高いMCGスコアは重篤な狭窄の存在を示すものであった。(AUC=0.79、Sensitivity: 66.7%, Specificity: 86.4%, PPV:57.1%, NPV:70.5%, Best cutoff:3.5、P<0.001)
MCGは冠動脈疾患の重症度に相関がみられ、高いMCGスコアは重篤な狭窄の存在を示すものであった。本研究はMCGが非侵襲的手法による冠動脈疾患の検知について、価値ある貢献を提供するであろうことを示した。
日本語要約
(冠動脈病変(中位~閉塞性狭窄)の重篤度に関する非侵襲的ECGスペクトル成分の数学的解析とSYNTAXスコア(Classic /Functional)との相関)(CCI)
愛知医大、中部労災病院、名古屋大学による研究。米国心臓血管造影検査インターベンション学会公認誌 CCI(Catheterization and Cardiovascular Interventions)掲載(2015年)
CAG予定87名に関するSYNTAXスコア(Classic/Functional) と、MCG(Low/Border/High分類)、ECG、FRSとの相関分析の結果、MCGだけが、SYNTAXスコアと有意に関連する唯一の検査であった。(Classic SYNTAXスコア:OR=2.92 [1.60 to 5.31], p<0.001) (Functional SYNTAXスコア:OR=3.66 [1.95 to 6.87], p<0.001) ・特異度は92.6%(classic)、92.3%(functional)であり、正診率は72.4%(classic)、82.8%(functional)であった。
MCGは、高い特異度と高い陰性的中率を示しており、機能的有意虚血の検知に利用できるだけでなく、不必要なCAGを減らすために利用できるであろうことが示唆された。 日本語要約
ECGスペクトル成分の数学的解析による機能的有意冠動脈狭窄の非侵襲的評価(BMJ関連Journal「OpenHeart」2014)
愛知医大、中部労災病院、名古屋大学による研究。2014年12月OpenHeart(British Medical Journal関連誌)掲載論文。100名のCAG/FFRによる冠動脈虚血結果とMCG/ECG/フラミンガムスコア(FRS)を比較し、MCGだけが、虚血レベルと有意に相関する唯一の検査であった。(OR=2.67 (1.60 to 4.44), p<0.001)
また、FFR≤0.8で調整されたモデル1におけるMCGスコアの特異度は 90.4% (87.0% to 93.9%)であった。(正診率:MCG79.0%)
MCGは、高い特異度と高い陰性的中率を示しており、機能的有意虚血の検知に利用できるだけでなく、不要なCAGを減らすために利用できることが示唆された。
2012ヨーロッパ心臓病学会(ESC)での発表
2012年のヨーロッパ心臓病学会(ESC)におけるMCGに関する臨床試験結果の発表。有意狭窄の兆候のある110人に関するMCG解析と冠動脈造影検査結果との比較の結果、感度97.8%特異度72.0%(PPV:78.9%、NPV:96.8%、cutoff point:3)。
A Paired-Comparision of the MultiFunction CardioGramsm (MCG) and SPECT Myocardial Perfusion Imaging (MPI)
International Journal of Medical Sciences 2011;8(8):717-72
2011年 ACCで発表された MCG解析と核シンチとの比較結果論文。
原文PDF
Comparing MCG and Coronary Angiography for detection of Coronary Artery Stenosis in Women
Treatment Strategies – Cardiology Volume 3, Issue 1 pp.82-91
女性に対するMCGの高い感度(92.4%)と特異度(85.3%)についてまとめられた論文です。
急増する女性の虚血性心疾患の状況と早期検知の必要性そしてMCG解析の有効性が述べられています。原文 PDF
Appropriateness Guidelines for the use of MCG in clinical settings
American Academy of Urgent Care Medicine December 17, 2009
AAUCM(American College of Urgent Care Medicine)から2009年12月に発表されたMCG解析の利用ガイドラインです。
患者様の症状に応じてのMCG解析使用の適切レベルが9段階で分けられています。原文 PDF
American College of Cardiology 2011
2011年4月のACCに於いてMCG解析とMyocardial Perfusion Imaging (MPI/核シンチ)との比較がDr.John Strobeck博士により発表されました。
165名に対して行われ、冠状動脈造影検査結果に対するMCG解析の感度は91%(特異度は87%、PPVは86%、NPVは92%)であり、MPIより高い感度/特異度を示しました。Presentation Handout
American Academy of Urgent Care Medicine
American Academy of Urgent Care Medicineの2008年秋総会での映像。
Dr. Imhoff博士, Dr.Strobeck博士 and Dr.Shen の三人の医師がMCGテクノロジーと医療現場での活用事例についてディスカッションします。Presentation Video
An analysis of the effect of age, gender and revascularization on MCG results
Circulation 2007 116: II_367
2007年 AHA(American Heart Association)でのプレゼンテーション。
2001年ドイツSieburgハートセンターで2度にわたり行われた臨床試験結果がベースとした発表。758名の冠状動脈造影検査結果に対するMCG解析の感度は89%(特異度は85.6%、PPVは76.6%、NPVは93.7%)Abstract | Presentation Slides
A comparison of the MCG system to coronary angiography
American College of Chest Physicians October 2007 132(4): 466S
2001年ドイツSieburgハートセンターで行われた、冠血行再建術済の患者172名に対してMCG解析の精度を評価するという臨床試験結果を基にしたプレゼンテーション。冠状動脈造影検査結果に対する感度は90.9%。(特異度は88%、PPVは62.7%、NPVは97.8% )Abstract | Presentation Slides