MCGは、約4万人分のデータベースと心電情報を照合させ、類似する症例の重篤度をレポートする新しい解析システムです。4万人分のデータには、健常者から重篤な心疾患の患者までのデータが含まれており、受信者の心電情報に類似するデータを瞬時にコンピュータで照合し、結果レポートを0~22のスコアで回答します。
データベースマッチング
また、工場などにおいても、製造過程における不良品の認識を瞬時に行う認証システムが一般的になっています。独自のアルゴリズムにより、製造された大量の製品を認識カメラ等のセンサーを通すことにより、要求基準を満たさない部品などをはじくシステムなどです。(左図は画像データ認識の例(川重テクノロジー株式会社)
微細な変化をとらえる166個のMCGインデックス
MCGではこのような技術を用いて、心電図データのデータマッチングを行っています。
MCGのデータベースマッチングは、通常の心電図を細密化し、より細かいレベルで行っています。
通常の心電図が、心臓の発する電気(電圧)の時間的変化(時間)であるのに対し、MCGでは、周波数帯に変換された心電図の微細な違いを166個のインデックスとして保持しており、その分布の変化を独自のアルゴリズムにより解析し、重篤度をレポートします。
また、通常の心電図が心電の時間的変化の形状を医師、技師の方が目視で判読するのに対し、MCGではシステムが自動的に瞬時にデータを解析しています。
活動電位の変化
そもそも心電図は、洞結節、心房筋、心室筋などの各部位が活動する際に生ずる電気活動、すなわち「活動電位」の和として記録されています。そして、各部位はその細胞の大きさや機能により、発する周波数が異なっていると考えられています。
従って逆にこの心電図を周波数帯に変換すれば、それぞれの周波数帯における異常をより微細に把握することが可能となります。MCGはこのような技術を用いています。
周波数帯での違い
ちなみにこの技術は「高速フーリエ変換」(FFT)と呼ばれ、機械工学では一般的に使われている技術です。
例えばトンネル内部の打音検査では、音の響き方の違いを周波数帯にすることにより、隙間部と健常部の違いをデータで把握することができます。また、出荷前に卵を軽く叩くことにより、目に見えないひび割れなどを周波数の違いで検知できるなど、この技術は現在様々な世界で活用されております。
データ分析の心電情報解析への応用
このような技術を用い、30年以上の研究の後、MCG技術は実用化されました。システムがデータとして処理することから、瞬時に解析が可能であり、また、24時間365日解析が可能で、かつ同一のデータであれば同じ結果が出るという、客観性に優れた側面を持っています。
なお、MCGの解析モデルについてさらに詳しい情報をご覧になりたい、こちらのTechnical Whitepaper(英文)をご覧ください。
MCG解析レポート
検査結果はMCG解析レポートですぐにご覧いただけます。解析レポートは虚血に関する「基本診断」と、その他心疾患に関する「参考情報」が記載されています。
レポートのサンプルはこちらからご覧ください。
MCGレポートサンプル MCG簡易レポートサンプル
「基本診断」は、虚血状態の有無、重篤度スコア、それが部分的もしくは全体的にあるかを解析します。プレミアハートMCGの基本診断は臨床試験を通して精度が確認されておりますので、診断のサポートツールとしてお役立ていただけます。
重症度スコアは、は0から22までの数値で段階的に表記されます。重症度スコアを参考にし、健診センター様ではA~Dの判定分類をして頂き、受診者様の状態の把握にお役立ていただくことができます。
0点以上2点未満 | A判定(MCGでは異常がみられません) |
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2点以上4点未満 | B判定(MCGでは若干の異常が見られます) |
4点以上8点未満 | C判定(MCGでは異常が見られます) |
8点以上 | D判定(MCGでは大きな以上が見られます) |
「参考情報」では、虚血以外の以下の心疾患を解析します。これらの解析に対する臨床試験は行われておりませんのであくまでも「参考情報」となりますが、「基本情報」と合わせて参照いただくことにより、医師の診断における心臓の全体的な状態の把握にお役立ていただくことができいます。
病的状態(2次情報) | 生理病理学的状態(3次情報) |
心筋症 | 心筋リモデリング |
細動の可能性 | 心筋コンプライアンスの低下 |
不整脈発生傾向 | 心筋コンプライアンスの増加 |
心筋障害 | 駆出率の低下 |
心筋炎 | 徐脈 |
肺性心 | 頻脈 |
リウマチ性心疾患 | 急性駆出率不全 |
先天性心疾患 | 全体的非同期 |
心室肥大 | 限局的非同期 |